或いは、其れは少女である。
　青く澄んだ瞳は清浄の其れか。白に輝く髪は無垢の其れか。透き通る艶やかな肌は神聖の其れか。
　或いは、其れは戦争である。
　青く澄んだ瞳は悲哀の其れか。白に輝く髪は無情の其れか。透き通る艶やかな肌は死神の其れか。

　或いは、其れは――

「オッケー、任しといて！　アタシの援護でお茶の子さいさい、ウチの子四歳！　ウソ！」

　否、えてして。
　外見から中身は想像できないものである。


　先天的に色素の無い白い髪をアップに纏め、若者風だが落ち着きのあるファッションに身を包んでいる。だが、常に無骨で不釣合いな杖を持ち歩く。美しさより可愛らしさが先に立つ整った顔立ち。

　オーストリア系ヴィル・ヌーヴ人の両親とともに、３歳の頃Ｎ◎ＶＡへと渡った。両親はＮ◎ＶＡで”シュヴァルツェ・シュヴァンツ（黒い尻尾）”という名の小さなバーを始める。
　しかしジークリットが１２歳の夜、彼女の両親は一人のアヤカシに血を吸われて衰弱し、間も無くこの世を去った。
　処女である彼女だけが狙われず、何故両親が吸血の餌食となったのか。ピグマリオンの術に長けたバサラであったはずの母が、何故無抵抗のままに殺されたのか。考えたくも無かった。だが、考えざるを得なかった。

　ジークリットはアヤカシ全てを憎んでいるわけではない。だが、アヤカシを狩っていく中で親の仇を討てればと、ＡＡＡに参加した。能動的に人に被害を与えるアヤカシ以外を狩る事は好まない。
　自身の力を直接に攻撃には用いずに基本は味方の補助に回る、組織でも珍しい第三班の赤である。

　ジークリットは今、”シュヴァルツェ・シュヴァンツ”でママと呼ばれる存在でもある。
　未成年の少女がレッドでもないエリアに居を構えたバーの主をしていても、客もイヌも野暮は言わない。それは彼女の境遇が同情を集めるばかりではなく、彼女自身の人柄から来る人望も幾分か味方している。

　今日も彼女は笑顔で店を開き、今日も彼女は友とアヤカシを狩る。
　明るく気丈な彼女は決して偽りではないが、その奥に底知れぬ哀情を持つ彼女もまた真実である。

　或いは、其れは――

---------------------------------------------------------------------

　――そうして、大きな戦いの日が終わった後。
　彼女の中の何かは変わり、何かは変わらず。
　結局彼女は、生きる世界を変えるでもなく、生きるスタイルを変えるでもなく、ＡＡＡの隊員と言う立場さえもそのままに、変わらぬ日常を過ごしている。

　其れは――きっと、なんてことない一人の人生。

---------------------------------------------------------------------

現在報酬点　２１

参加アクト
　AAAマテリアルアクト　”夜明け前”ＲＬ：金川 仁さん　獲得経験点13
　AAAマテリアルアクト　”人かアヤカシか”ＲＬ：あきたクグツさん　獲得経験点13
　AAAマテリアルアクト　”財産を確保せよ”ＲＬ：オリエルさん　獲得経験点14
　サーキュラーアクト　 ”fly away”ＲＬ：助清さん　獲得経験点13
　GGマテリアルアクト　 ”世界の行く末を決めるのは take 7”ＲＬ全一さん　獲得経験点14

自主制作物
あるＡＡＡ隊員の話 -a story-　獲得経験点2（感想含め）
http://space.geocities.jp/yabukouji12/a_story.txt

---------------------------------------------------------------------

http://space.geocities.jp/yabukouji12/sigrid01.jpg
http://space.geocities.jp/yabukouji12/sigrid02.jpg
影久さんよりイラストを頂きました。ありがとうございますっ！

▼能力値上昇
▼技能修得25
▼常備化