「俺は、お前を殺して無実を証明する」

 無敵を誇ったボクシングの元世界チャンピオン。キャリアの絶頂で冤罪によって投獄され、終身刑を言い渡された男。普段は軌道刑務所アスガルドに収容されている。
　かつてタイフーンエクスプレスが、ニューロエイジのルービン・ハリケーン・カーターとして報道し、注目を集めた時期もあった。しかし、彼のために歌うボブ・ディランはいない。やがて誰からも忘れ去られた哀れなチャンピオンは、待遇の改善と、再審請求の為に必要な証拠集めで、資産を使いはたした時、ひとつの決意をした。

　その決意とは、類まれな破壊力を持つ拳と、一族（風使いの家系）の呪われた力を、ボクシングのためではなく、自らの自由を勝ち取る為に使う、というものだった。

　それ以来、自分を捕らえている篠原セキュリティシステム（SSS）を介して、千早雅之や千早怜牙からの殺しの依頼を受けつつ、裁判のために必要な資金を集めている。どんな相手であろうと３分以内に始末する彼は重宝されている。また、数少ない対アストラル要員としても活動しており、彼の右を喰らえば、たとえ妖怪変化であろうとマットを舐めることになるだろう。

　もちろん、仕事のために地上の拘置所とアスガルドを行き来していることは企業秘密。元は地上の刑務所にいたが、裏の仕事を請け負うようになった際に、機密保持のため、記録上は獄中で精神崩壊したことになっている。そしてオフには、アスガルドで悠々と暮らしているのだ（仕事をこなすたびに待遇はよくなっている）。

　仕事の報酬で得た資金は、たいてい再審請求の為に必要な証拠集めを地上に依頼することで消えていく。しかし、たまにアスガルド内への図書館や花壇の設置といった、奇妙な待遇改善を求めることがある。そうした時は、きまって棚や鉢に、自分の殺した相手が生前好んでいた本や花を添えて、無言のまま眺めているのだそうだ。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化