力を秘めしも、未だ空白なる魔導書。
自身に秘められた力を示現させ得る魔術師、己が片割れとなるモノを求めて世界を彷徨っている。
好奇心と未だ見ぬモノ、そして人への疑問と憧れを内に抱いている。


その存在はイレギュラーか、エラーか。
特殊にも、“生まれ”を持つこのアヤカシは、例えて言うならば、温室の中で生きてきた花、深窓の令嬢だ。
強大な力を秘めているため、“両親”に有象無象を寄せ付けぬように大切に守られ、
また、知識や魔力の使い方を教育されてきたのである。
しかしながら、温室にいるだけでは彼女は満足しない。
“両親”では、己の裡にいる“神”を使役は出来ない。
己に秘められている力を解放・使役することにより、初めて己という存在になるのではないか。
何よりも、自分にも“両親”のように、互いを支え合う存在が欲しい。
己が存在するためには他者の――それも、己を必要としてくれる存在が不可欠だ、と思い立ったこの魔導書は、生まれ落ちた居心地の良い場所を飛び出し、旅に出た。
己を魔導書――己――たらしめる魔術師を求め。

・魔器の形状は、透き通った水晶のような材質の一枚の板。
・18才前後の少女の姿をとる。
・実は頭でっかちな、背伸びっこ。
・無機質的。
・血が美味しい。

「どうして？　なぜあなたはそんな顔をしているの？」

「…………」
――火災報知器を前に指をぴたっと止め、うずうずしている。

「カレーの作り方？　知っています。先ずは包丁で野菜、肉を切り――」
――レシピを諳んじるも、包丁で指を切り、鍋をひっくり返す。

「見たいのです。あなたの意志が叶えられたその先に、何があるのか」

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“tabula rasa”
其は空白なる書。
虚ろなる白紙に記さんが為、他者を知るを望む。
其を以て己を為さんが為、他者を欲す。
其を以て未だ記されぬ世界に臨まんと願う。
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マナ、MANA、Manna、真名、愛、= Ain Soph Aur = Ens Astralre 存在するもの