「──誰も見た事の無い“時間”なるもの。
　その実在を誰もが信じていた、それが最初の過ちでした」
　　　　　　　　　　　　　　『ホウ博士、時間を語る(未刊)』序文より

かつて天才と謳われ、時間の謎を解くなら彼だと言われた物理学者がいた。
しかし異常発達した脳神経が全身の細胞を侵蝕するという奇病を患い、
療養生活に入ると宣言して以降は人前から姿を消した。
脳の中枢をほとんど切除しなければ治療は適わぬ不治の病。
生命維持機能を機械化しても増殖する脳細胞がいずれ圧潰を起こすとされ、
数年前からは論文も途絶えているために世間では死亡したと思われて久しい。

──奇病が齎したのは緩慢なる死ばかりではなかった。
デタラメと言えるまでに全身を侵し増殖する神経細胞は新たな視野をも齎したのだ。
確実に迫るタイムリミットの中でアストラルへの見識を得るに至った彼は、
見出した世界最大の魔術結社である真教協会へとコンタクトし共同研究を要請した。
その内容と彼の知識・能力に興味を抱いた秘蹟管理局に招聘され、数年後──
“車椅子に繋がれた人型の脳”と成り果てながらも、彼は自らの病を克服した。
遂に解き明かされたる時間の秘密によって、症状の進行を文字通り“停止”させたのだ。

科学のみでは為し得なかった理論を、今の科学界に発表することは出来ない。
ならば暫しの間、魔術の徒として今まで出来なかったことに挑戦するのも悪くない。
もはや、タイムリミットは存在しないのだから。

["Dr.Stillness" Haw=Wang ]

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化