「世界には私よりも不幸な人間がいるでしょう。
　でも己の不幸を一番理解出来るのは、世界でただ一人、己だけなのです」

「…いつか消されてしまうかも知れない。私は、私であることを否定されてしまう。
　レオン…助けて。私の味方は、貴方しか…いないの」




（かむろ　すずね）
神室寿々佳の異母妹に当たる少女。
母親は父の妾であるが、鈴音を産んですぐに亡くなった。

高い霊力を持ち、かつて寿々佳が霊力の全てを喪失した事件では、寿々佳を廃嫡して彼女を次期当主に立てようとした動きもあった。
だが厳蔵はそれを認めず、寿々佳も最終的には闇の力を取り戻したため、その話は無かったことになっている。

あまり体が強い方ではなく(神室家の子女は悉くが敷地内でそれぞれの師匠をつける形で勉学するため、そもそも外の学校へ通うことは少ないが)、神室家の敷地内の奥にある館で過ごしている。時折、敷地内を散歩はしているようだ――。

面差しは寿々佳によく似ている。
寿々佳は異母姉として何かと鈴音のことも気にかけているが、特別に鈴音だけ気にかけていると言うより、数多い異母弟妹の中の一人、と言う感覚である。
特別扱いを受けないことは、かつて寿々佳と次期当主の地位を争わされそうになった鈴音にとっては、むしろ有り難いことのようだ。


――以上が鈴音としての設定。以下、核心部分へ。






鈴音は寿々佳の影武者として造られた、一種のデザイナーチャイルド。
寿々佳と似ているが、瓜二つではない。それは影武者はあくまで影武者であり、本体である寿々佳に同化し過ぎて成り代わろうという野心を育てないよう、あえて僅かな区別をつけるようにさせられた。
無論、寿々佳に万が一のことがあった時は、その区別は全て取っ払い、完全な寿々佳として造り直される運命が待っている。

それがいつになるのかは分からない。
だが鈴音は知っている。異母姉の寿々佳が死ねば、鈴音としての自分も死ぬことを。
それを受け容れていたはずだったが、深層意識の中で鈴音はそれを恐怖に感じていた。
――恐怖は蓄積し、やがて鈴音の中にその恐怖を抑える存在が芽生えた。

レオン。
鈴音の中に宿った、もう一人の鈴音と言うべき存在。
レオンは主人格である鈴音の恐怖――そして負の感情から生まれた。
“彼”は憎悪する。鈴音を守るために、異母姉である寿々佳を、こんな運命を課した神室家を。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化