その街には、彼の世と此の世を隔てる、厚くて薄い壁がある。

其は終わりを看るもの
淵にありて与うるもの

うじふみ　しょうご

UzimonOgutam


メモ：召式　吾郷　めししき　あさと



■アクトトレーラー
　この街には、彼の世と此の世を隔てる、厚くて薄い壁がある。
　
　祖父の召式　吾郷（めししき　あきと）が亡くなったのは今朝の事だった。
　緩やかに眠るような大往生。最後は孫に看取られるだけの侘しいものであったが、死の直前の祖父は満足そうな顔をして笑顔のまま逝った。
　
　困ったのは、この街には他の人間はいなくて、自分と祖父の二人きりだった事だ。
　何とか葬式風に場を整え、訪れるはずも無い弔問客を待つ。
　
　ほとほとと戸が鳴った。
　濡れ羽色の髪を肩ほどで結わえた、祖父の学友と名乗る楚々とした少女が、そこに立っていたのは見間違いようのない事実だった。
　
　何故なら、彼女には触れる事が出来たのだから。
　
　　　　　　　『世　耽　人』
　
　僕はもう、独りぼっちの運命だと思っていた。
　だから、独りぼっちにならないために、彼女と常世の扉をぐぐったのだ。
　
　
■ハンドアウト
ＰＣ１　コネ：後述参照
　
　祖父が死んだ。独りぼっちになってしまった。
　取り合えず葬儀の体裁を保ち、――独りで準備するのは相当骨が折れた。ネットは偉大である――通夜の寝ずの番をする。
　線香を数回取り替えた頃だろうか。耳に痛いほどの静寂を破って、こんな夜更けだと言うのに、まだうら若い少女が真っ黒のセーラー服を着て現われた。少女は、祖父の学友であったという。
　年齢が合わない。そういぶかしみながらも、少女を部屋に通す。何でも揃うが、誰独り居ないこの街で、会話の出来る相手というのは、物の怪だろうがありがたく感じたのだ。
　焼香を済ますと少女はこういった。
『あの壁を一緒に越えましょう。貴方は知らないかもしれないけれど、あの先には他の人の住まう街があるの』と。
　独りになりたくないならば、その提案に乗るしかないのだろうか。
　
ＰＳ.『少女』の願いを叶える

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化