その街には、彼の世と此の世を隔てる、厚くて薄い壁がある。 


泡沫に消え行く終わり
儚さの具現

まつのめ　ゆうほ
Matunome Yuuho

芸術思案中

　細い手足の少年のような少女だった。……と見えただけで、実は少年かもしれない。濃紺のセーラーに短パンという何処の学校の制服か知れない、不可思議な服装に、黒のランドセルを背負っている。
　瓜のような、年の割りには縦長い顔の輪郭に、柔らかそうな黒髪を短く整え凛とした人物のようだ。年の頃は、ローティーンといったところだろうか。
　眉は、小悪魔が悪魔の囁きをする時のような顔でせわしなく、くるくると表情を変えている。
　爪は桜貝を並べたよう。
　覗き込むようにこちらを見ると、彼女……彼？は、矢継ぎ早に言葉を並べる。
　「夢の世界へ用こそ。お客人。ここは迷える子羊の救済場所。現と幻の狭間……夢の真。信じるも信じないも君次第だよ」
　目は、他の二人の少女と同じ。嘘つきの目ではない。僕は、この子供の言葉も信じるしかないのだろうか？
　
　
　桜舞う、桜散る、桜積もる。
　薄紅に覆われるその白昼夢の中、その人物と僕は出会った。
　その少女は、目を凝らせば消えてしまう、現。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化