[TSUKUYOMI Ouga]

「報酬は３シルバーだ。やってくれるな？」
　『──わたし、そんな安い女じゃなくってよ？』　毛皮を纏った女が、流し目をくれる。
「む、むぅ。ならば、１ゴ……」
　『わーお、プラチナムだぜ！俺たち大金持ちだッ♪』　はしゃぎ回るストリートキッズ。
「──ぐ。　　　　判っ、た。１プラチナム、出そう……」
　『交渉成立だ。後は俺たちに任せな』　胡散臭い元軍人オヤジと、その仲間たち。
「ったく。足下見やがって……」

　　　　　　　　　　──コミュニケーションが成立すること自体、一種の奇跡だ。

耳を覆うは、厳重な消音機能付きのヘッドホン。
眼前を塞ぐは、無数のチャネルが同時に表示された護法のモニタ。
それらの伝える物が、彼の世界のすべて。
いつ、どこにあろうとも、彼はモニタ越しに世界を認識する。
そして、言葉を紡ぐもまた然り。
３Ｄディスプレイに投影される、誰かの言葉だけが彼の言葉。
彼が自らの目で物を見、自らの言葉で語り掛けることは決して無い。

──古来より、情報戦の主役は忍者であった。
万の備えを掻い潜り、敵地の中枢より情報を持ち帰るのは忍びだけの業。

──時は、変わった。
今や、誰も何もせずとも真偽問わぬ情報が溢れかえる時代。
今の忍びに求められるのは、その情報の海より求むものを引き上げること。
それは──氾濫する言葉の中で、己の存在すら見失いかねない荒行だ。
自らの存在意義への直向なまでの忠実さ、ただそれのみが、
二十四時間休むことなくそれを為し続けることを可能にしているのだ。

【忍法・言ノ刃／コトノハ】
幾多の兵法家が既に語った通り、情報とは即ち武器である。
有益な情報をリアルタイムに反映し、
半ば無意識の領域で装備構成を最適な状態へとシフトする。
形無き言葉を鍛え上げ、鋭き鋼の刃と成す──
その極みの業を、人々は畏怖の念を込め"忍術"と呼んだと言う。

※ただいま調整中！手を触れないでください。　Ｎ◎ＶＡ行政府

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化