「いやですねぇ、お助けが来るまで保てばいいんですけど。
　こんな下郎どもに、私の音色を聴かせてやるのも気が引けますし」
　――襲撃者の攻撃を虚空で全て弾きつつ助けを待つ。


神室分家出身の楽士。本名は「神移季貴(かみうつりすえたか)」
現在は本家に召抱えられ、災厄よりも遙か昔の日本における古典音楽の復元及び継承を担当している。
のんびりな貴族然とした性格で、享楽的なところがある。が、やる時はやる。あと、好きなことには熱中してしまうタイプ。

神室家に連なりながら、異能力を“持たされず”に生まれた。
その理由は彼の生まれた家は異能よりも音楽に優れており、ともすれば権威的になっている本家に良い感情を抱いておらず、またその源となっている異能自体に否定的になっている一族であるため。よって彼は、本来ならば持ちえたはずの能力を母親の腹にいる段階で封印されてしまった。一種の「デザイナーチャイルド」である。
だが、幾千年の間に積み重なった異能力の遺伝子の影響は完全には消えず、簡単な防壁を構築することが出来る力を持っている。季貴自身は護身術の一つとしてこの力をたまに使っているが、技を磨こうとは思っていない。

そんな彼だが、今は実家を離れ、本家に邸宅を与えられてそこで生活している。
それは厳蔵に才能を見込まれて支援を受けているからである。その支援がある限り、実家は大きな権力を持つ本家に潰される心配は無い。
そういう打算が働いて、神室の姓を名乗ってまで本家に従っているのだが、何だかんだで憂き世離れした性格も手伝って今の生活を気に入っているようだ。
寝る場所も食べるものも着るものもあり、なおかつ己の好きなことに没頭できる。ましてや本家にいる者やここへ来る者は思ったよりも面白い。
そのため、神室本家の人間とも仲が良い。その代わり、実家からいい顔をされていないのだが(彼がいなければすぐにでも取り潰しの可能性があるにも関わらず、である)。


25歳の時から、加齢を止めている。
まだ自分の納得がいく後継者を見つけられず、また育てるにしても時間がかかるため、見つかった時、あるいは育った時に全てを託せられるよう、体力を保たせている。
寿々佳と魏耶も彼に師事しているが、彼自身は二人を後継者には考えていない。
理由は、寿々佳は神室本家の跡継ぎであり、魏耶は本人が望んでいないため。
「他に役割を持つ者、また望まない者に何もかもを託したところで、泡沫の如く消えてしまうだけ。それならば自分がそれを託すに足る者と認め、認められることを望む者に、全てを与えたい」
その思いのもと、彼は後継者を捜している。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化