「怎麼生！」
「説破！」
「其の者、人に非ずして、獣に非ず。
　山川に非ずして、木石に非ず。
　物具に非ずして、人形に非ず。
　神仏に非ずして、魑魅に非ず。
　化生に非ずして、機械に非ず。
　変異に非ずして、電脳に非ず。
　而して、其の者に心在り。
　扠は何ぞや！」
「其の者は、各々に宿りし心其の物なり！」

「……じゃあ、アイツは一体なんだってんだ！？」

　
　ジットは人ではない。
　ニューロデッキに当て嵌めるならば、-18・アヤカシということになるだろう。
　では一体何だと言うのか？
　何れの分類にも当てはまらない。
　そもそも、同種の存在など確認されていない。それを分類するならば、その一個体の為だけに界・門・目・属、全て用意しなければならない。


　白髪の男が街を行く。
　彼の肌は透けるように白く、気だるげに開かれた瞳の瞳孔は白い。
　纏ったジャケットの色は黒。上から羽織ったトレンチコートは漆黒。
　男――本当にそうだろうか。
　その顔立ちは中性的で、あるいは女性とも取れる。
　だが、今は便宜上、男と呼ぼう。
　街を行くその男。
　人の姿をした、その男。

　だが、男が人でないことは、誰の目にも明らかだった。


　The it.
　いつからソレがいるのかはわからない。
　どうしてソレがいるのかはわからない。
　ただ、自身の人外たるを周囲に振りまきながら、街に現れ、街に消えていく。


　ヒトが好きだ。
　例え、自分がヒトでなかったとしても。
　だが、私はヒトを愛してはいけない。
　ヒトの為に生き、ヒトの為に死に、
　ヒトの為に殺そう。
　いつまでも。

▼能力値上昇
▼技能修得　20
▼常備化