「捨て置け、その程度の者にここは立ち入れぬ。
　神室の敷地を無用な血で穢す必要はない」
　――神室家に入り込もうとした者を一顧だにせず。

「“STYLE-生き様-”を持った時点で神は神としての真の力を自ら棄てるのだ。
　ゆえに我は“神殺し”にあらず。我が斬りしは、我等と同じ存在の輩よ」
　――その言葉の真意とは。

「寿々佳よ。あやつは随分と放蕩に育ったが、見棄てずに支えてやってくれ」
「はい」
「あやつも、お前と同じ神室の子。だが、あやつにとって神室は枷でしかない。
　その枷を自分の意思で如何に扱うか、それを見届けてやってくれ」
「…心得ております、お父様」
　――娘･寿々佳との会話


　神室本家の当主。神室寿々佳の実父にして、神室魏耶の養父。
　N◎VA有数の資産家で、様々な業界や組織と太いパイプを持っている。
　だが特別どこに肩入れしている訳でもなく、基本は中立的立場にいる。VIP扱いも、先方が勝手にやっているようなものである。

　“精神を断つ刃”の使い手で、また神室家の英霊達の加護を受けている退魔師だが、今は跡取りの寿々佳に任せて殆ど表に出てこない。
　最近は一族の前にも姿を現すことも稀で、実は重い病に伏していると言う話もある。そのため、誰かと会う必要がある時は馬酔木と言う名の分心を通して行う。嫡子である寿々佳ですら、よほどのことがない限り馬酔木を通して会話をするようになったと言う。

　人物としては、威厳に満ちた峻烈な帝王だが、好事家としての一面を持ち合わせている。
　魏耶とは過去の確執により折り合いが悪いが、決して粗略に扱っている訳でもなく、むしろ実の息子同然と思っている。魏耶も最近こそ以前のように頭ごなしに反発しなくなったが、それでも完全に打ち解けるにはまだまだ時間がかかるものと見られる。
　しかし、厳蔵自身は、魏耶が自分と打ち解けられなくても、義姉の寿々佳や友人知人と心開いて接することが出来る子に成長したならばそれで良いと考えているようだ。
　だがその情の深さを表に出すことはないため(寿々佳には割りとその面を出し、心情を吐露することも多いが)、時に冷酷な人物であるとも評される。もっとも、本人はその評価ですら様々な局面で利用している節がある。

　妻は親本家派の分家出身の朱音と言う女性である。
　神室本家当主の妻になるために生まれ育てられた。寿々佳の実母であり、魏耶も彼女に養育された。
　今は行方知れずとなっている。生存していれば、08年の時点で満34歳。逆算すると、彼女は14歳で寿々佳を出産し、15歳で魏耶の養母になったことになる。
　魏耶曰く、慈悲深く芯の強い、美しい女性だったと言う。
　厳蔵と魏耶の確執も、この朱音が行方知れずになったことが大きな原因となっている。


・魏耶の出生にまつわる悲劇を知っている。
　内心は魏耶を我が子同然に思っているが、当主として、そして父としての厳格さを(魏耶に憎悪されることを承知で)優先した。
・正妻にして寿々佳の実母・朱音失踪事件の真相を知っている。しかし朱音との約束により、その真相は墓まで持っていくつもりでいる。
　もっともこれが、養母である朱音を慕う魏耶との確執を決定的なものにしてしまった。
・寿々佳の隠された事実を知る、現在唯一の人間。
　父親として、当主として、その事実を如何にすべきかをずっと考えてきた。寿々佳自身は、その事実に気づいている様子はない――が、それは表面上のことであり、実際はどうであるかは不明。


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【神室家】(本家のアドレス:N◎VA中央区内/ホワイトエリア)
災厄よりも遙か以前の日本で生まれ、連綿と続く退魔の一族。
退魔業を生業としているが、一般においては舞踊や雅楽の流派の家元的存在であり、またN◎VA有数の資産家としての名の方が知られている。

始祖は無名だが異能に秀でた男で、ある巫女から神託を受けたことをきっかけに神室一族を興した。
その頃からの家訓があり、それは『人に仇為す妖を斬り、人と共に生きる妖を守れ』である。
これが、巫女から託された神の言葉だった。男はその巫女を妻とし、優秀な退魔の力を宿す子を為していった。
そして神室家はアヤカシの保護区域として通称【神室家の聖域】と呼ばれるアストラルの空間を作り上げ、ここに人と共存を望みながらも異形ゆえに人から迫害されたアヤカシを匿った。そして十分に人間社会で生きていけるだけの力を、彼らに教える。
それは今でも続いているが、分家の中にはアヤカシ保護について反対の意を示す者も多く、一族全体が一枚岩ではないのは確かである。

日本にも神室家が存在しているが、そちらの詳細は不明。
分かることは、N◎VAと日本の神室家は互いに、災厄の前後に分裂した一族であり、現在は一切の交流が無いというと言うこと。
なお、N◎VAにいる方の神室家が嫡流であると言うのが、N◎VAにおける神室一族(本家も分家も含めて)全員の見解である。実際に神室家の聖域を始めとした遺産を受け継いだのはN◎VAの神室家であり、日本の神室家は今となっては存続しているのかすら不明。
少なくとも聖域と日本は繋がっておらず、災厄前後に完全に日本の外に“移動している”と言うのが神室家の言。――だが、本当のところは闇に包まれている。

なお、同じく退魔の名門である御門家及び藤宮家とは特に目立った対立もなく、むしろ有事には共同戦線を張ることも多い。

※日本との関係
　神室家は鎖国派。そのため、神室家の力を日本に貸し出している説がある。
　ただし厳蔵を始め、本家の人間に積極的に日本に関わっている様子は無い。少なくともキャストとしての寿々佳も、平素では日本に関しては何も情報を持っていない。魏耶にいたっては言うまでもなし。

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【神室本家の外観】
ホワイトエリアにある広大な一等地に、荘厳な門構え。その中はとてもニューロエイジとは思えない、古風な光景が広がっている。
一番中心に客人をもてなしたり儀礼を行ったりする本宅があり、他にも厳蔵が私的に使用する館と寿々佳の館、図書庫がある。そして厳蔵の愛人一人ずつと本家の主要な人物達にも邸宅が与えられている。なお、魏耶は諸事情で館は与えられておらず、実家に滞在する際は寿々佳の館で寝泊りしている。

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【神室家が祀る神】
本家が祀るのは、闇･負･静――万物の陰を司ると言われる黒き龍神。
だが元々はその対を成す、光･正･動…万物の陽を司る白き龍神も共に祀られていたのだが、現在そちらは分家が祀っている。
娘の寿々佳が仕える神は黒き龍神の方であり、彼女の闇の力もこの龍神に巫女として認められ、生まれつき与えられたものである。
御神体は神室家の聖域の最下層にある、“万死の湖”の中にある。

行動指針
<分心:馬酔木(ミストレス)>を<延長>で召喚し、対象に<コンタクト>で自分のコネを取らせるのが基本。そして馬酔木を通して話す。屋敷からは出れず、出る場合は星幽界か〈幽体離脱〉を用いて登場する。
基本的に浄化派以外とは中立にあり、またよき協力者でもある。