「………。―あ、何て言ったか、って？―クソ喰らえ、って言ったのさ、お友達」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
スラムにて徒党を組むストリートキッズグループのリーダー。
常にタバコをくわえ、世の中を冷めた目で見ている少年。
弱い奴に頼られるのが好きで、強い奴は大嫌い。努力嫌いで楽天家。――人に名前を覚えてもらうのに執着している節がある。
人数は20人ほどの小さな団体。やってる事はそこいらのごろつきと大差が無い。
―退屈で、どうしようもない鬱屈したものを単純な手段で発散させる不良の集団。

14歳という年齢。だが、彼は彼らの頭になっている。
理由は一つ。―一番腕腕っ節が強く、頭が廻るからである。
――元々、そう、遺伝子レベルからして出来が違うのだ。

彼は歴史上最高とも言える遺伝子をもって生まれてきた。―生まれながらにしての天才。
高度の発達した遺伝子工学は人類の起源にまで遡り、また現在の生きている人間全ての遺伝子を辿り、彼という存在の誕生を予言していた。
――生命体として閉塞しかかっている天上人にとってはまさに救世主ともいえる存在であり、地上人でありながら軌道の名誉ある同胞として印を送られ、蝶よ華よ、と育てられてきた。

―だが、人生甘くなぁぁぁいっ。
そんな彼の前に現れたもう一人の最高の遺伝子の持ち主。―それがにっくきあの女。
――5歳のとき、彼は8ヶ国語を喋った。彼女は10ヶ国語で読み書きが出来た。
――7歳のとき、彼は武術指南役を30秒で倒した。彼女は4秒で相手に触れさせもしなかった。
――10歳のとき、彼はウィザードの称号を手に入れていた。彼女には一度も電脳戦で勝った事は無い。
彼女は努力の天才でもあった。――だから勝てない、勝てない。彼の自尊心は其処でぼろぼろに砕けた。そして地上に逃げるように落ちていった。

彼が常に咥えているタバコ。タバコをどうしても吸えなかったその女に唯一勝てた物。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化