「ほほう、お主にはアレが敵に見えるのか？　わしには宝の山にしか見えんのう」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――――ウォーカーと対峙し、傍らの誰かに

　ふらりとストリートに現れ、荒事屋を営み始めた少年。
　やけに老成した……いや、爺臭い口調と吸いもしないのに咥えたキセル。
　そして、右眼、左腕、左脚の剥き出しのサイバーウェアが特徴的。
　対人戦においては並よりやや上程度の腕前だが、対ウォーカー、対ヴィークルなどの機動兵器との戦いにおいて、ユウゴは超一流と言っても過言ではない力を発揮する。
　それもその筈、ユウゴはウォーカー狩りを生業とするクリルタイの部族『ホワイト・アンツ』に育てられた戦士……言わば、機動兵器の天敵だ。
　そんな彼が何故部族を捨て、ストリートの片隅で荒事屋など営んでいるのか。
　それを語るには、彼が『ホワイト・アンツ』に出会った……いや、拾われた頃にまで遡らねばならない。

　ある時、オーサカＭ○●Ｎ周辺にまで活動範囲を広げていた『ホワイト・アンツ』の戦士達がガンワゴンを襲っているウォーカー数機に狩りを仕掛けた。
　滞りなく狩りを終わらせ、引き上げようとした戦士達の耳に届いた微かな声。
　ウォーカーの襲撃により、すでにガンワゴンの被害は壊滅的だったものの、瀕死の重傷を負いながら奇跡的に生き残っていた子供の声だったのだ。
　戦士達は唯一の生存者たる子供に応急処置をし、自らの部族へと連れ帰った。
　襲撃による恐怖からか髪は白髪と化し、生死の境を彷徨うほどの重傷から奇跡的な生還を果たしたものの、ショックからか、己の名前以外全てを忘却した子供……それが、ユウゴの過去だ。

　失った体を機械で補い、少しずつ成長し、部族の一員として幸せと言える暮らしをしながらも、彼にはどうしても知りたい事があった。
　それは失った過去、己の本当の出自や故郷……その思いが限界に達した時、彼は誰にも告げる事なく部族を出た……筈だった。
　まだ日も昇らない時刻、ユウゴの道を遮った一人の男。
　それは、師であり、養父であり、己の恩人でもある戦士だった。
　彼は、何も言わず、黙って己の剣をユウゴに渡すと、後ろを振り返るように促した。
　振り返ったユウゴの視界には、遠くから、ユウゴを激励する仲間達の姿があった。
　師の剣と、仲間達の激励を背にしてユウゴの旅は始まったのだ。

　自らの過去を探す当ての無い旅路に彼が何を見出すのかは、まだわからない。

▼能力値上昇 ▼技能修得[120]+15 ▼ブランチ +10 ▼常備化 +40