「世界などどうなっても良いだろう、所詮この世は仮初ぞ。
　だが他ならぬそなたの頼み、引き受けようではないか」
　――重い腰をあげる。

「まぁまぁ、ゆっくりしていくがよいさ。明日明後日で滅びる世界でなし」
　――いいのかそれで。

「私がN◎VAにいる理由か？　ははは、簡単なことさ。
　あんな閉鎖空間-日本-にいるより退屈しないと思った、ただそれだけさ」
　――今の生活は割りと好きらしいよ。


アサクサの片隅でひっそりと暮らしている、陰陽師を名乗る年齢不詳の男。
軽薄な性格で、さらりと世の中が滅んでもいいではないかとか口走る。何事にも懸命になることがない。
だが友人の頼みは断れず、ゆえに友人から頼まれればあっさりと面倒ごとを引き受ける。

古の日の本の国に存在した、“遙けき都”――平安京。彼はその地で誕生した。
稀代の陰陽師のクローン体――その者の力をコピーした存在として。
だがその陰陽師でさえ持ち得なかった力を、芳清と言う存在は持っている。
それは、不老不死の力。仮に死しても再び現世に“忌那芳清として”還る反魂呪法と共に、オリジナルから与えられた。よって、時間の流れそのものが彼にとっては無意味であり、また死も生も無意味なのである。
彼はそれを当然のこととして受け止めている。いや、受け止める受け止めないの問題ではない、そもそも彼は“そういう”存在だと、生まれたその日から自覚していた。
もっとも、その考えを他人に本気で強いることはない。ゆるゆると構えているのは彼の性格のせいであり、むしろ自分にへつらって合わせてくる人間を嫌悪する。

彼は長い時の中で、数多くの誕生と滅亡、栄枯盛衰を見つめ続けた。
取り残される孤独も尽きることのない天命への空虚も無い。ただ、見つめ続けた。
人々は時に彼を敬い、畏れ、崇めては退けた。
しかし彼はそれでも死ぬことは無かった。――災厄が訪れた日もまた、彼は…いつもと変わらぬ生活を送っていたと言われている。絶望が世界を覆ってもなお、彼は“不変”だった。

【裏設定】
・彼は西暦1000年前後の日本で、稀代の陰陽師と謳われた安倍晴明のクローン体として生を受けた。
・かつて日本軍の呪術機関『黄泉千五百軍』に在籍していたらしいが、真偽は不明。
・神室家に古くから深く関わっている人物であり、『神室家の聖域』にも自由に出入り出来る、外部では唯一の存在。
・彼は本来、強固な結界を張る存在として日本に留まるべき者である。それにも関わらずN◎VAにいるのは、実は外から結界を構築し、日本へのアストラル的な侵入を防いでいるからである。

▼能力値上昇▼技能修得▼常備化
2007/1/31　CHRONICLE対応
2008/7/28　ゲスト化