「ヘンリー、ボブ、ジョージ……なあ、俺はまだそっちに行っちゃいけないのか」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―暗い部屋の中、独りで―
　
ミトラス戦争で活躍したサイボーグ部隊の生き残り、と言えば聞こえはいいかもしれないが、本人に言わせれば「死に損なって貧乏くじを引かされた」事になるらしい。
事実、彼のいた戦場は凄惨を極めたものだった。
　
補給を断たれ孤立した部隊。充分なメンテナンスも受けられずに散発的な戦闘を繰り返し、一人、また一人と動かなくなっていく仲間。その”残骸”に詫びながら部品を回収し、辛うじて命を繋ぐ生き残り。そうやって戦い続けやがて一人になった彼が、その身に砲弾を受けようやく死ねると思った時……唐突に、戦争は終わった。
　
戦争は彼から全てを奪った。
戦争は彼に何も残さなかった。
既に彼の一部となった、小隊の仲間達の形見である部品を除いて。
誰が悪いわけでもない。
何を恨んでいるわけでもない。
生きる理由も死ぬ理由も見出せぬまま千早に拾われた彼は、ただ歯車のように時を刻んでいる。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化