ひどい有様だった。
兵士も民間人も関係なく、死体が横たわる。
突如としてそんな光景が広がった。

俺たちは爆撃機が飛び交い、ウォーカーがひしめく轟音の中にいた。
ウォーカーの装甲など貫けるかどうかもわからない、ちっぽけなライフルを担ぎ、
俺たちは独立勢力側の兵士として、戦場ーーーミトラスにいた。

前線への行軍中、小さな集落に逗留した。
そこの住人はほとんどが南米人だったが、俺たちへの恐怖もあったのか、俺たちを歓迎した。
そこには一人の少女がいた。
屈託のない笑みで俺たちに安らぎを与える少女。
だがその少女と同じ、南米人の手によって、少女は・・・・死んだ。
巻き添えと言ってもいい。俺たちの部隊を村に泊めたことで「裏切り」と思われたらしい。連合軍は、即座に「村もろとも」俺たちの殲滅のための部隊を送り込んだのだ。

グレネード、ナパーム、フレイムスロワー、あらゆる兵器を用いて連合軍は村に侵入し、焼き払った。村人たちは抵抗もなく地に伏せ、彼らを守るため、俺たちは戦った。
所詮は多勢に無勢、仲間たちは次々と倒れ、俺も肩口に30mm弾の直撃を受け、動けなくなった。
大地に倒れ、ふと上を見上げると・・・恐怖におののき、足のすくんだ、あの少女がいた。彼女にあのときの笑顔は、なかった。
ウォーカーの銃口が、彼女に向いた。

「やめろーーーーーー！！！」

俺の悲痛の叫びも空しく、30mm機関砲は火を噴き、目の前の少女は・・・
俺は慟哭の中、意識が途絶え、気がついた時には軍の医療施設の中にいた。俺だけが・・・生き延びたのだ。
聞いた話だが、あの後独立軍のウォーカー支援部隊が到着し、連合軍側の部隊は撤退したらしい。その後、俺は戦争終結まで、病院のベッドの中ですごした。

やがて、両国になんの利益をもたらさず、俺たちが命を賭けて奪い合ったあの大地は、どちらのものにもならず、結局は企業にのっとられることで、このクソ戦争は終結を迎えた。

怪我も完治し、仕事にもまともに就ける様にまで回復した。
だが・・・俺にはあの村で死んでいった仲間たちと、少女の屈託のない笑顔、それが壊れ、穴だらけになったその光景が、今でも網膜に焼き付いて離れない。いや、目は何度か変えたから、正確には脳裏に焼きついているのだ。

軍を退役し、普通の仕事にありついても、そんなトラウマを抱えいまだにその光景が目に飛び込んでくるたび、いたたまれなくなって吐き気をもよおすのだ。
まともに仕事もできず、どんな仕事でもクビになった。そんな俺に愛想を尽かし、妻は娘を連れて俺の元を去った。
一人になった俺は、N◎VAへと渡り、ストリートでふらふらとしている毎日だ。戦争の報奨金と退職金でいまのところ暮らせてはいるが・・・いずれそれも底が尽きるだろう。
なんのためにやっているのかわからないが、今でも毎日筋トレと射撃訓練は続けている。
しかし俺は、この後何をすればいいのかさっぱりわからない。目の前は真っ暗な獣道だ。そんな現状に、俺は絶望しているのだ。

生き残らなければよかった。あそこで死んでいれば、苦しまずに仲間と一緒に地獄で暮らせたものを・・・
軍にいたころのドッグタグはいまだに手の中にある。いっそのこと、また戦場に赴き、そこで死ぬのも華か。そう思えど、俺の感情はそれを拒否する。そしてまた堂々巡りだ。

だれか、誰でもいい、俺を救ってくれ・・・・
そう願いながら、俺はまた、ストリートをあてもなく歩いているのだ・・・・

※略歴
数年前まで北米連合陸軍・特殊機甲歩兵大隊の特殊任務小隊に初速し、アサルト（前衛）を担当していた。
第二次ミトラス戦争において同小隊は独立軍解放の支援のため、任務を受けた。そして作戦任務中に奇襲を受け、逗留中の集落の住人もろとも、ブライアンを残して全滅した。
その時のことがトラウマになっており、退役後もまともな職に就けずに離婚。その後N◎VAに渡った。
トラウマによる幻覚を紛らわせるために、日々「アムリタソーダ」に浸って生活を送っている。
端から見ると酒に浸るダメオヤジだが、その眼は常に戦いを求める「兵士」の眼だ。ただ「何のために戦えばいいのか」それがわからず迷走しているのが今のブライアンなのだ。

▼能力値上昇 10（外界+1）
▼技能修得 一般75+社会20+コネ15+カブキ25+カブト20+カブトワリ50
▼ブランチ 30
▼常備化 25

※プレアクト購入
アーマージャケット、ガードコート、ハードヘルム
スティング、ドラゴンブーツ、MP12、ライオット
ポケットロン、銀の目、シティコンダクター
追加マガジン各種　爆裂弾　AP弾　スラッグ弾各20

※参加アクト
06/06「アンハッピー・サルベージ」（RL水沢氏・13）