「俺はただ君に、この世界が好きな魔法使いになって欲しいだけなのかもしれないな」
――ささやかな願い

「『認識』、『理解』、『確信』。この三つが揃えば、『魔法を殺す』のはそんなに難しいことじゃない」
――魔性の炎を“殺し”ながら

「お前らいい加減席に着け！　私語をするな！　山田、安藤、お前らＨＲ終わったら職員室来い！」
――問題は指導力だ


真なる悪鬼。
バサラやマヤカシの間で囁かれる、汎元殿の始末屋の噂。
力に溺れ悪事を為す術者――彼らの為す奇跡を無為へと還し、絶望させて闇へと葬る、“魔法を持たない魔法殺し”。
汎元殿のエージェントである彼は、普段は人々の中に紛れながら、魔法の痕跡を独自に調査し、そして必要とあらば汎元殿、もしくは自らの判断において処断を下す、冷徹無比な猟犬だ。
しかしてその実態は……

清和学園のエセ教師である。

日常生活を送る上での隠れ蓑として、また、若い術者を見守るという名目でもあるのだが、この男、教師にはあまりにも向いていない。初等部に行けば舐められ、中等部に行けば侮られ、高等部に至ってはもはや心配される側である。
不器用すぎるその性格が、子供達にとっては格好のおもちゃなのだろう。

然れども侮ること無かれ。
彼は紛れも無く、汎元殿の名の下に、幾人もの術者を葬り去ってきた“真なる悪鬼”なのだ。

だが……実のところ、物騒な二つ名や噂とは裏腹に、陣本人は甘すぎるほどに甘い若造に過ぎない。必要以上にロマンチストで、世界の残酷さに苦しみながらも前に進まずにはいられない。魔法は人を幸せにするためにあって、人は解り合えると信じている。そんな報われない、損な生き方が、この“真なる悪鬼”の正体なのだ。
もっとも……救いがないのは、彼が追うことになる術者というのが、大抵はすでに終わってしまっている存在であるということなのだが。

バサラの集団である汎元殿の中にあって、魔法を持たない彼は冷遇されている。

消費経験点：３９点

▼能力値上昇
▼技能修得
（６５＋４５）＋２０
▼常備化
（１０）＋１９