「立ちなさい。貴方はここで折れるような弱い人間だったのですか？。」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　―――――戦場にて

　カティーナ・カーレンリースと言う少女がいる。
　清らかで気高く、包み込むような優しさと烈火の如き激しさを兼ね備えた聖騎士。
　誰が信じるであろうか―――そんな少女の正体が悪魔だなどと。

　カティーナ・カーレンリースと言う少女がいた。
　真教の孤児院で育ち、毎日のささやかな幸せを主に感謝していた純朴な少女。
　そんな少女の運命を変えたのは―――誕生日、１５歳になったばかりの夜。
　
　少女と孤児院を襲った悪夢、それは欲望を原動力とした暴力、武装した強盗。
　彼等は少女と少女の家族に容赦なく鉛弾の雨を降らせると金品を物色し始めた。
　その時、ただ一人死に切れていなかった少女は祈り、願った。
　力が欲しい、救世主様のように清らかで、邪悪を滅する力を―――と。

　祈りは聞き届けられた。
　神にではなく―――悪魔に。
　
　―――君の魂と肉体と人生の全てと引き換えに、君に力を与えよう。
　
　僅かな逡巡の後、少女は首を縦に振った。
　その瞬間、死を待つだけだったカティーナ・カーレンリースは消滅し。
　悪魔はカティーナ・カーレンリースになった。

　少女に成り代わった悪魔、それは様々な異名で知られる変わり者の悪魔。
　彼とも彼女とも知れぬその悪魔は、契約した人間を不世出の英雄にする代償に己の全てを差し出させる。
　聖母殿に度重なる審問や尋問を行なわれ、それでも滅せられなかったのは審問や尋問を行なった誰よりも高い徳を見せ付けたからだ。

　以来２年、悪魔は少女の姿で少女の望んだ救世主の如く人々に救いを与えている。
　少女との契約が失効されるその日まで、悪魔は英雄であり続けるだろう。

　スペルは『Katina』。

▼能力値上昇 ▼技能修得[80]+40 ▼ブランチ ▼常備化[40]+20