「私を呼ぶ時は名前の最後に“閣下”とつけたまえ」

　生前、アルシップス＝クラークと言えばかなりの凄腕の結界術師であった。
　その技量は“王国”というハンドルからも分かるとおりであり、同名の装備を実用化に関わったと噂されるほどである。
　そんな彼は常日頃、魔術戦での敗北死を防ぐためにある術式を自らに施していた。
　すなわち、周囲の魔力を取り込んで自らの肉体を蘇生させる法である。
　魔術戦においては、その術式を発動させるのに充分な魔力を簡単に確保できるため、例え死んだとしても即座に蘇生してしまう。そのため、彼の命を狙っていた者は「いかに魔術に頼らずに彼を殺すか」について真剣に頭を悩ませていた。

　……アルシップス＝クラークが飼い猫の餌を買いに行った帰りに車に轢かれて即死するまでは。

　彼の死をトリガーに自動発動した術式はしかし、必要な魔力の補給に失敗し、不完全な形で彼を蘇生させた。すなわちリビングデッド……死にながら動く者として。

　不完全な蘇生により本来持っていた膨大な魔力を失い、今ではストリートの影に隠れてひっそりと暮らしている。

▼能力値上昇
▼技能修得
▼常備化